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交通事故の後遺症に多い「むち打ち症」。どのように治療するのが正しい?
病院に行ってもなかなか良くならないむち打ち症。首の痛みだけでなく、頭痛やめまい、吐き気などに悩まされている方も多いのではないでしょうか?ここではむち打ち症の症状や正しい治療法、目安となる治療期間などについて解説していきます。
むち打ちとはどんな状態?
むち打ち症は様々な症状の総称
「むちうち」の呼称で知られる「むち打ち症」は、首がムチのようにしなったために起こる、様々な症状の総称です。むち打ち症の70〜80%を占めると言われる「頸椎(けいつい)捻挫」や首の骨に沿って走る後部交感神経が損傷する「バレー・ルー症候群」、神経や脊髄の損傷など、様々な診断を総称してむち打ち症と呼びます。
むち打ち症は首に急激な負担がかかった時に発症するもので、交通事故だけでなくスポーツなどで発症することもあります。
むち打ち症のメカニズムは?
人間の頭は体重の約10%の重さがあると言われています。体重50kgの人で約5kg(お米1袋ほど)の頭部を、首だけで支えているのです。交通事故による急停車、追突、衝突などで体に大きな衝撃が加わると、シートベルトに固定されていない頭部は大きく前方に振られ、その後、反動で後方に反り返ります。
重い頭部を支えている首も、頭部の動きに合わせて大きくしなり、本来の可動域を超えてしまうと、筋肉や骨、血管、椎間板、神経などが損傷を受けるのです。
低速走行中に起きた事故や軽い追突事故でも、発症する可能性は十分にあります。
むち打ち症の特徴
交通事故などに遭遇すると、事故直後は興奮状態になっていて、痛みや違和感を感じないこともよくあります。事故に遭って数日が経過してから、首に違和感を感じたり肩に痛みを感じたりすることもあります。ただし、事故のあった時から時間があいてしまうと、事故との因果関係が疑われてしまい、本来治療に使えるはずの損害賠償がもらえなくなってしまうこともあります。事故に遭ったら痛みがなかったとしても、すぐに病院を受診するようにしましょう。
むち打ち症の治療は?
まずは整形外科へ
むち打ち症は数ある診断の総称です。むち打ち症を引き起こしている原因によって、当然治療法は変わってきます。例えば頸椎捻挫の場合、初期治療はとにかく安静が必要になります。手や足の捻挫と同様に、患部を冷やして痛みを抑えるのでマッサージは逆効果。正しい治療方針を知るためにも、最初は整形外科を受診しましょう。整形外科ではレントゲンやMRを使って画像検査を行い、治療の方針を決めていきます。
また、交通事故で被害者となり、むち打ち症の治療をする際に必要になるのが医師の診断書です。診断書とは、医師によって「事故が原因でむち打ち症になっている」と認められたことを示すもの。診断書がなければ、加害者へ損害賠償請求することができません。接骨院や整体、マッサージなどでは診断書を書いてもらうことはできませんので、まずは整形外科を受診しましょう。
整体・接骨院の方が適している場合も
とはいえ、整形外科では根本的な治療はしてくれません。整形外科では、患者本人が訴える症状に対しての治療がメインとなるので、頭痛がしたり、首の痛みを訴えたりすれば痛み止めや湿布を処方してくれますが、それらは根本的な解決にはならないのです。
そのため、病院での治療と並行して、接骨院を利用する方はたくさんいます。接骨院では筋肉をほぐす運動療法や電気を使って刺激を与える理学療法などを使って、関節や筋肉にダイレクトにアプローチすることができるので、むち打ち症の治療は接骨院の方が得意な場合もあるのです。もちろん、接骨院の治療が必要であると医師に認定してもらうことができれば、賠償金を治療費に充てることもできるので、接骨院に通いたい旨を最初に診てもらった整形外科の医師に伝えておきましょう。
通院期間はどのくらい?
軽度のむち打ち症の場合は約3ヶ月、一般的には約6ヶ月が治るまでの目安となります。ただし、むち打ちが治るまでの期間は症状の度合いによって異なりますので、上記はあくまで目安として考えておきましょう。
また、交通事故で受けた怪我は、早期にしっかりと治療できているかどうかで、治療期間が異なります。どんなに軽症だと思っていても、放置すればどんどん悪化することもあるので、必ず早期治療をするようにしましょう。
後遺症について
むち打ち症で気をつけたいのが後遺症です。軽度だからと痛みを放置して症状が悪化したり、痛みを緩和しようとして変な姿勢になったり、運動不足によって筋力が低下したりすることで、体に歪みが出ることがあります。また頚椎を痛めた時に、一緒に自律神経を傷つけてしまい、食欲不振に悩まされることもあります。一度治ったように感じても、雨が降ったりすると痛みが再発するケースも少なくありません。
このように長い間症状が改善されないと、整形外科では「症状固定」といって、「これ以上治療しても効果が見込めない」と診断されてしまうこともあります。そんな時は接骨院・整体を頼りましょう。少しハードルは高いですが、整形外科で「後遺障害診断書」を作成してもらうことができれば、その後の治療費も保証してもらえます。
むち打ち症が理解されにくいのはなぜ?
苦しみを理解してもらえない精神的苦痛
軽度なむち打ち症だと、レントゲンやMRなどの画像検査で異常が見つけられないこともあります。被害者本人の「首が痛い」「体がだるい」などの自覚症状だけだと、客観的にむち打ち症であることを示すことが難しくなってしまうのです。
毎年多くの方がむち打ち症に悩まされていますが、「仮病なんじゃないの?」などと心ない言葉を加害者や保険会社の担当から受けることもあるかもしれません。被害を受けた挙句、その苦しみを理解してもらえないというのは、肉体的にはもちろん、精神的にも大きな苦痛ですよね。
診断書を書きたがらない医師もいます
損害賠償を受けられるかどうかは、整形外科の医師にかかっているのですが、医師はあくまで病気を治すプロフェッショナルであって、保険や診断書のプロフェッショナルではありません。そのため、交通事故のトラブルに慣れていない先生だと、診断書を書きたがらないこともあります。むち打ち症の診断に慣れている病院に通うようにした方がいいでしょう。
まとめ
整形外科を選ぶときも、接骨院を選ぶときも、「交通事故の対応に慣れているところ」を意識して選びましょう。中には整形外科、弁護士、接骨院が連携してサポートをしてくれるところもあるので、そういったところも選ぶポイントとして重視すべきですね。